突出した在庫
全てはユーザーのために
販売店の責務は、最終的にはユーザーの生産活動が円滑に行われるようにサポートすることにある。その仕組みをうまく構築できればユーザーからの信頼を得られる。群馬県の西部と埼玉北部を商圏に、切削工具を主力とする佐藤機工は豊富な在庫を強みに顧客満足度を高め、ユーザーからの信頼を勝ち得ている。昨今、物流インフラの発達や財務面の問題から、在庫を持たない販売店が増えている中でその量は突出している。金額や量は「企業秘密」(佐藤春雄社長)とするが、あるドリルであれば、0.1㎜おきに全てのサイズを揃えている。時には卸商社からも問い合わせがあるほどだ。佐藤社長は「在庫の陳腐化や財務面でのリスクはある」としながらも「全ては顧客の要望があったから。顧客のためという姿勢は創業時から変わらないし、変えない」と言い切る。その豊富な在庫の質と量で「今まで以上に“佐藤機工にいけば何でも揃う”と言って頂けるようにしたい」という佐藤社長。その基盤強化に向け、基幹の業務管理ソフトを今夏「機工メイトⅡ」に全面的に入れ替えた。
将来は在庫管理まで まずは受発注から
機工メイトの導入は6年前。きっかけは落雷による既存システムのダウンという不慮の事故によるものだったが、知人の紹介もあり導入を決めた。その後6年近く運用してきたが、ライセンス契約の期限もあり、今夏「機工メイトⅡ」に置き換えたのだが、実はその際に他ソフトなども検討したという。しかし、「商品データベースの充実とシステム変更による社員の負担増」を考慮し、不満な点もあったが置き換えを決めたという。置き換えと同時に、業務の運用を全社的に見直し、将来的に強みの源泉である「在庫管理」にまで広げる考えだ。
とはいえ、いきなり在庫管理まで発展させるのは難しい。まずは受発注を機工メイトで運用するところからスタートした。実は以前、受発注をシステム化しようとして挫折した経緯がある。それは「各作業段階で統一できていなかった」ためだ。発注はTEL・FAXと手書き、売上計上は営業担当者が各自入力、仕入計上は業務担当者が一部入力とバラバラだったため「社員に徹底させることも出来なかった」という。それを今回はシステムの一新で、PC入力に統一させた。スタートして一ヶ月のため、「運用面で試行錯誤している」と言うものの、ブロードリーフのサポートも受けながら全社員に「どれだけ効率的になるのか」を説明し、日々改善を進めている。そして、全社的な改革へとつなげていく考えだ。
ウェブ取引にまで先んじて展開
受発注とともに、もうひとつ取り組んでいることがある。それは卸商社とのシステム連携だ。すでにある商社とは打ち合わせ済みで、機工メイトとその商社の商品データに互換性を持たせ、一気に効率化に繋げる考えだ。佐藤社長は「各社同様に困っていると思うが、ウェブで発注した際に、自社のシステムに再入力する手間が発生してしまう。これをなくしたい」と期待を寄せている。今後についても「若い社員を中心に、ウェブ発注の抵抗はまったくない。ユーザーでも同様だし、ウェブを活用した受発注は間違いなく増えていく。早い段階で効率化できる体制を整えたい」という。
相見積・小ロットのニーズ増加に対応
将来は適切な在庫コントロールも
40年近く業界を見てきた佐藤社長は最近の大きな変化を2 つ上げる。一つは相見積の増加だ。「リーマンショック以降顕著になった気がするが、本当に見積もりが増えた。それまでは“義理人情”で済ませていた部分もあったが、全くなくなった」。そしてもう一つは小ロット化。「今までではありえなかった工具一本などという発注もある」という。だが「それがユーザーのニーズであるなら対応できる仕組みを作るしかない」と佐藤社長。在庫に対する考え方同様、「全てはユーザーのため」だという。目下取り組んでいる機工メイトでの受発注の運用を早々に軌道に乗せ、強みである「適切な在庫コントロール」にまで、運用を広げる考えだ。
佐藤機工様も導入した「機工メイトⅡ」システムの主な機能
- システム化により、受発注業務の効率改善
- 充実したデータベースを活かした、適正な在庫管理
導入効果
- 受発注まで運用を広げることで、効率化につなげている
- 社員の意識改革の契機に
今後の課題
- 受発注の仕組みを早々に社内浸透させ安定化させること
- 機工メイトを活かした適切な在庫管理
- ウェブ取引においても、機工メイトを使い一本化することで二度入力の手間を減らす
- ユーザープロファイル
- 株式会社佐藤機工
【設立】1971年
【本社】群馬県藤岡市
【事業内容】
切削工具を中心とした機械工具全般
※導入事例の記載内容は、取材当時のものです。